関節部のシワにも追従できる極薄伸縮コイルアンテナを開発
日本メクトロン株式会社(港区芝大門1-12-15、以下「日本メクトロン」)は、総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(以下「SCOPE」)の下、非接触給電対応の極薄伸縮コイルアンテナを開発しました。日本メクトロンの伸縮するフレキシブル基板「伸縮FPC」をベースとしているため、手首等の関節部に貼り付け、曲げた状態でもNFC(近距離無線通信)アンテナとして機能します。
本開発品の特徴
このコイルアンテナは、日本メクトロンが量産している伸縮FPCの技術をベースとしながら、伸縮素材層の厚みを50μmから10μmと従来の1/5に薄型化。補強構造を開発し、柔らかさと製品形状の保持を両立したことで、シワにも追従でき、自然な装着感を実現しました。
また、従来のコネクタ接続に加えて、小型の導電性スナップボタンを組み込むことにより、簡単かつ確実にコイルアンテナと外部機器を接続することを可能にしました(写真1・2)。
本研究開発成果と今後の展望
このコイルアンテナを手首に貼り付けた後、導電性スナップボタンを介して外部機器となるセンサ基板や無線デバイスと接続することにより、センサ駆動およびセンサ取得データのワイヤレス伝送が可能になります。これにより、本研究開発「柔軟伸縮素材を伝送媒体とする接触・非接触併用型二次元通信」の目標の一つであった、非接触給電という条件下で、当コイルアンテナがNFCアンテナとして機能することが確認されました(写真3)。
実際に手首の動きによって、コイルアンテナが大きく変形し、たわんだ状態でもNFC機能が得られたことは、当非接触給電分野において大きな成果です(写真4)。
今回は、温度センサ(南山大学による製作・提供)を用途例としていますが、NFCアンテナ、およびそれによって得られる給電特性の範囲で、外部機器への換装が可能です。また人体だけではなく、衣類、寝具やソファ、ぬいぐるみなどに組み込みが可能なバッテリーレスのIoTセンサとして、幅広い分野への応用が期待できます。
日本メクトロンでは、技術を通じて社会に貢献することを目標に、SCOPEでの研究開発で得た技術と知見に基づいた伸縮FPCの一層の機能向上とニーズ探索を行い、製品開発をしていきます。
総務省 戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)とは
戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE、Strategic Information and Communications R&D Promotion Programme)とは、情報通信技術分野の研究開発において、新規性に富む研究開発課題を大学・独立行政法人・企業・地方自治体の研究機関などから広く公募し、外部有識者による選考評価の上、研究を委託する競争的資金のことを指します。
南山大学 理工学部 機械電子制御工学科の野田准教授の研究である「柔軟伸縮素材を伝送媒体とする接触・非接触併用型二次元通信の研究開発」が、2020年度SCOPE(電波有効利用促進型研究開発(先進的電波有効利用型)フェーズII)に採択されました。その共同研究者として、法政大学 理工学部 電気電子工学科の中村准教授、日本メクトロンが参画しています。
【総務省SCOPE(受付番号:205006003)】
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